1.江戸時代の大ベストセラー「養生訓」は 人生100年時代の生き方に大変役に立つ。
2.人生を楽しむための生き方指南書である。 三楽と四害について
3.「養生訓」は貝原益軒の体験から84歳で執筆。日野原重明著「生き方上手」と考えにおいて通じるものがある。
4.「養生訓」は8巻から構成。現代の健康法 気功 呼吸法 導引術等を江戸時代から既に述べている。
5.養生とは身体精神面 食べ物面でのバランスの必要性を説いている。

「養生訓」とは、江戸時代大ベストセラーとして豊かに、人生の為の生を楽しむ実用書として愛読されたようです。 300年後の令和の時代その先見性時代性に驚くばかりです。人生100年時代と言われており養生訓からその知恵を再び学んでみたいと思います。
「養老訓」の筆者、貝原益軒ですが、江戸時代の本草学者(主に中国で発達した医薬に関する学問)、儒学者。筑前国(現在の福岡県)福岡藩士として朱子学の講義、佐賀藩との境界問題、筑前国続風土記の編纂などを行った人物です。70歳で役を退いてからは著述業に専念するようになり、そのほかの著書「大和本草」(やまとほんぞう)は貝原益軒が編纂した本草書があり、日本史上最高峰の生物学書であり農学書でもある。中国の『本草綱目』の分類方法をもとに独自の分類を考案し編纂、収載された品目は1,362種、薬用植物(動物、鉱物も含)以外にも、農産物や無用の雑草も収載されている60部270余巻に及ぶ。
貝原益軒84才時に書かれた養生訓には、どうすれば「健康で長生き出来るか」「健やかに人生を送れるか」というのが具体的な方法と精神論を交えて紹介されている名著です。
もともと体力的に弱かった人であり健康に留意 その実践法を養生訓にしたと言われています。当時85歳まで生きたことは、養生訓の実用性を立派にうらづけているものでしょう。
原文から少し教えを見てみます。
「養生の術をまなんで、よくわが身をたもつべし。是人生第一の大事なり。」
「人然るにこれを養なふ術をしらず、慾を恣にして、身を亡ぼし命をうしなふこと、愚なる也。」
「身命と私慾との軽重をよくおもんぱかりて、日々に一日を慎しみ、私慾の危(あやうき)をおそるること、深き淵にのぞむが如く、薄き氷をふむが如くならば、命ながくして、ついに殃(わざわい)なかるべし。豈(あに)、楽まざるべけんや。」
「養生の術は先ず心気を養ふべし。」
「養生のためには中を守るべし」
「常の呼吸のいきは、緩やかにして、深く丹田に入るべし」
「心を和にし、気を平らかにし、いかりと慾とをおさへ、うれひ、思ひ、を少なくし、心をくるしめず、気をそこなはず。これ心気を養ふ要道なり。」
「一切の病にみだりに薬を服すべからず。病の災いより薬の災いが多し。」
「五味をそなへて、少しづつ食べば病しょうぜず」
本書の中で、養生視点の三楽について述べており
一、道を行い、善を積むことを楽しむ
二、病にかかることの無い健康な生活を快く楽しむ
三、長寿を楽しむ。

長寿をまっとうする条件である抑えるべき四つの欲については
一、あれこれ食べてみたいという食欲
二、色欲
三、むやみに眠りたがる欲
四、徒らに喋りたがる欲
があるとしています。
養生訓は「予防医学」の指南書としての色が濃い書物です。「養生のためには中を守るべし」バランスを保つ生活を進めています。飽食や過激な運動は活性酸素を増やすので慎め
穀 肉 菜のバランスと腹八分をすすめています。
「恐れて防ぐことができれば、たえず健康で元気はつらつとして、病気にかからず天寿を全うすることができよう」とも、益軒は述べています。

本書の構成は8巻からなり、概要は以下の如くです。
巻第1 総論上:養生の目的と意義を儒教思想の観点から説く
巻第2 総論下:バランスの取れた運動・栄養・休息を推奨
巻第3 飲食上:飲食について
巻第4 飲食下 飲酒 飲茶 慎色慾:飲食や喫煙の害を解説
巻第5 五官 二便 洗浴:五官(耳・目・口・鼻・形)の説明。特に口腔ケアを重視
巻第6 慎病 択医:未病時の養生につとめ、医師の吟味を説く。有名な「医は仁術なり」の言葉が登場。
巻第7 用薬:薬の効能及び害について
巻第8 養老 育幼 鍼 灸法:老後の暮らし方について
益軒の実体験から得た養生(健康、健康法)について84歳の時に庶民目線で解説しています。平成の時代高齢化社会の生き方に意識改革をもたらした日野原重明氏著「生き方上手」とも共通点があり「齢を重ね経験を積むごとに人間の価値は増す」とも語っています。

また、単に身体を健康に保つための養生にとどまらず、精神面での養生にも言及しているところが大きな特徴です。現代医療に欠かせない心のケアを説いているところに本書の先見性があり養生訓の教えはストレートです。「心を穏やかに、怒りと欲を抑え、憂いや思い煩いを少なくし、自分を苦しめない、ということです。」と、時代を超えて今も愛読されている一因と言えるでしょう。

まとめ
1.江戸時代の大ベストセラー「養生訓」は 人生100年時代の生き方に大変役に立つ。
2.人生を楽しむための生き方指南書である。 三楽と四害について
3.「養生訓」は貝原益軒の体験から84歳で執筆。日野原重明著「生き方上手」と考えにおいて通じるものがある。
4.「養生訓」は8巻から構成。現代の健康法 気功 呼吸法 導引術等を江戸時代から既に述べている。
5.養生とは身体精神面 食べ物面でのバランスの必要性を説いている。